家族の時間
和宏がドアを開け出てくるのを隠れてみていた真穂と鞠子。
外まで大きな声が聞こえて、走ってやってきた。
「どうしたのかしら?」
鞠子は廊下に出ると、真穂にきいた。
いつも優しい和宏の意外な一面だった。
「鞠子、どうする?」
真穂はオロオロしていた。
「行こー。」
鞠子は真穂を引っ張って部屋に入って行った。
「支配人…。」
「二人共聞いてたのか?」
健太の問いかけに二人とも頷いた。
「支配人、どうしましょう?」
真田が戸惑っていた。
「真田さん、このまま進めて下さい。」
「真田さん、すいません、真穂、鞠子ちゃん、変なとこ見せちゃったね。」
あかりが困った顔を見せながら二人に謝った。
健太はこれからの事を考えた。
「真田さん、よろしくお願いします。」
あかりは頭を下げた。
真穂と鞠子は立ったまま、あかりにかける言葉がない。
二人はくちびるを噛みしめた。
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