家族の時間
あかりは和宏の携帯電話を鳴らした。
しかし、出ない。
「まったく…。信じられない。」
あかりは呟いた。
あかりは結婚式場の玄関先で、和宏の携帯電話の番号を押した。
コールばかりで、まったく出ることがない。
「電話ぐらい出なさいよ!」
あかりは電話にむかって叫んだ。
先ほどの事で、和宏が結婚式場からいなくなった。
あかりは、翔のお店に電話を掛けた。
もしかしたら、和宏が連絡を入れているかもしれないと思ったからだ。
「翔、和宏から連絡あった?」
あかりの質問に翔は、
「ないよ…。けんかしたのか?」
「翔、私…和宏の事がわからない。」
あかりは翔に泣き言を言った。
「わかった、和宏に聞いてみるよ。」
「翔、…大丈夫よ。聞かなくても…私から聞く。仕事中に電話して、ごめんなさい。」
あかりは電話を切った。
(和宏に聞いてみよう。)
あかりは空を見上げながら思った。
(七恵の事、あんなに嫌う理由、聞いてみよう。)
あかりは決意し、結婚式場を後にした。
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