家族の時間

翔は受話器をあげた｡
｢翔､何かあったのか?｣
翔がなかなか出なかったので､渉が聞いた｡
｢あかりが和宏と七恵の事でけんした｡｣
｢そうか…悪いが沙織ちゃんに電話してあかりを夕飯に誘ってもらってほしい｡｣
渉が訳ありげに言った｡
｢わかった｡｣
｢それから､翔に教えておく｡｣
渉がゆっくりしゃべった｡
｢七恵が帰国した｡今日､隆文と夕食する｡｣
｢帰国したのか…｡｣
翔が呟いた｡
｢沙織ちゃんやあかりにまだ知られたくない｡｣
｢わかった｡…父さんと母さんは七恵の帰国知ってるの?｣
翔は渉に聞いた｡
｢あぁ､知ってる｡うちの男はみんな知ってる｡健は病院で､衛達は空港であった｡｣
｢健は病院?｣
翔はわからなかった｡
｢健の彼女のうさぎを連れて行った時に会ったみたいだ｡｣
｢兄貴､沙織に電話して夕食に誘うように言うよ｡｣
｢サンキュー｡｣
そう言うと電話を切った。
翔も受話器をおいた｡