家族の時間

次に電話したのは､翔だった｡
翔は､ちょうどお昼休みだった｡
｢翔､渉君から電話だよ｡｣
奥さんから声を掛けられた｡
翔は､まかないを食べるのをやめて電話でた。
｢なんかあるの？｣
翔は早く電話を切りたかった。
｢今から出てこれるか?｣
｢どこに行くの?｣
｢駅前のペットショップ｡｣
渉の答えに､翔が黙ってしまった｡
｢冗談だろ?｣
翔が聞いてきた｡
｢啓悟が犬をかいたい、と言ってる｡｣
翔が近くの椅子に腰を下ろした｡
｢栗がいるのになんで?｣
｢出てこれるか?｣
渉の問いに翔は
｢親方に聞いてからだ｡多分､大丈夫だろ｡｣
と答えた｡
｢ありがとう。｣
渉はそういうと翔と少ししゃべって電話をきった｡
｢啓悟､父さんと母さんに連絡したか?｣
渉が振り返ると啓悟はまだしゃべっていた｡
説得出来ない｡
啓悟はそんな顔をした｡
｢私､無理だと思う｡｣
志穂は､ペットショップを見ながら言った｡
｢お願い!!健兄ちゃん達も来るし､栗ちゃんも来るから｡｣
｢渉にかわりなさい！｣
麻子は叫んだ｡
啓悟は､渉に携帯を渡した｡
渉はため息をついて､携帯を耳にあてた。