家族の時間
タキの発言に麻子が二人を見た。
健太がホークを置いた。
「何か言う事があるならいいなさい。」
「大学に行かない。」
衛が健太を見た。
「高校を卒業したあとどうするの?」
麻子は立ち上がった。
「動物の訓練士になりたい。その関係の学校に行きたい。」
啓悟が家族を見ながら言った。
「渉、知ってたの?」
あかりの声に渉はため息をついた。
「知るわけない。ただ、…」
「ただ…何?」
真穂も聞いた。
「ここ最近、二人が落ち着きがなかった。」
「渉、わかってたでしょ。」
あかりは渉のそばに来た。
「わかってて、黙ってたでしょ。」
「あかり、言いがかりは止めろ!」
翔が叫んだ。
「知ってたとしても、二人の将来は二人のものだから、その道を兄貴がとやかく言えない。それに、進路を親に言うのは、二人がする事だよ。」
翔の言葉に二人が立ち上がった。
「お願いします!」
「お母さん、あかり、座りなさい。」
健太が言った。
麻子とあかりは、椅子に腰をおろした。
「真面目に聞く。二人も冗談でなく本気なんだな。」
健太の問いかけに二人は頷いた。
健と志穂は、息を呑んだ。
「いつ頃から考えていたんだ?」
健太の言葉に二人は志穂を見た。
「な…何?」
志穂は、キョロキョロしながら二人を見た。
「志穂がイジメにあってた時に、栗太郎のと一緒に五十嵐(いがらし)先生のところにいった時があったろ?」
啓悟がゆっくりしゃべりはじめた。
「五十嵐先生の奥さんがしつけ教室をしていた。」
「菜摘(なつみ)さんがやってる教室のことか?」
渉が聞いた。
衛と啓悟が頷いた。
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