家族の時間
大学に着いても、真穂の携帯電話はならなかった。
「どうだった?」
親友の田村鞠子(たむらまりこ)がやってきた。
鞠子も就職先が決まっていない。
「まだ、連絡がないの。鞠子は?」
真穂の問いかけに、鞠子は首を振った。
二人はため息をついた。
午前中は、連絡がこなかった。

家には、仕事が休みの麻子は真穂から連絡がないことに心配していた。
志穂が麻子に声をかけた。
「おばさん、先生が午後から学校に来て下さいって言ってた。」
「え?」
麻子は、志穂の言葉に驚いた。
志穂は、いじめが原因で学校に行かなくなっていた。
中学三年生になった時、月に一度学校に通うようになっていた。
「わかったわ。何時に行く?」
「一時に来て下さいって言ってた。…進路の事でしょ。香苗も一緒。」
綾瀬香苗(あやせかな)は志穂と一緒にいじめられていた。
志穂は二階に上がった。
麻子は、タキの部屋に行った。
「おばあちゃん、志穂の学校に行ってきますから、真穂から電話があるかもしれないのでお願いします。」
「わかったわ。」
タキは返事をした。
麻子は、タキの昼ご飯の用意を始めた。
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