家族の時間
麻子は静かに立ち上がった。
「出席日数はたりますか?」
麻子は、座っている教師を見た。
「それは…」
「いいです。職員室に隠れている安藤先生に聞きます。」
そういうと麻子は、教室を出た。
「おばさん!」
志穂と香苗が職員室に行こうとする麻子に声をかけた。
「安藤先生にご挨拶してくるわ。」
「おばさん、行かないで。」
志穂は麻子の顔を見た。
「大丈夫、安藤先生に出席日数の事を聞きに行くだけよ。」
麻子は二人に手を振った。
職員室に麻子が入ると緊張がはしった。
「安藤先生、お久しぶりです。衛と啓悟の時、お世話になりました。」
麻子の登場に安藤はびびっていた。
「な、何ですか?」
「志穂と香苗ちゃんの出席日数はたりますか。」
麻子の声に安藤はあたふたしながら出席簿を調べた。
「大丈夫です。」
「これで安心ですわ。安藤先生、誰がくると思ったんですか?志穂の兄がくると思いましたか?」
麻子は、扉に手をかけたが、振り返ると安藤の方に向いて頭を下げた。
「志穂に何かあったら、私でなく主人が出てきます。…香苗ちゃんでも来ますから、よろしくお願いします。」
麻子は、職員室を出た。
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