家族の時間
五十嵐動物病院の電話が鳴った。
「五十嵐動物病院です。」
受付の庄司が出た。
「すいません、そちらに石橋さんいますか?」
「はい、いますがどちらさまですか?」
「中村です。」
「お待ちください。」
庄司は、渉をよんだ。
「誰ですか?」
「中村さんです。」
渉は、受話器を上げた。
「先輩、どうしました?」
「仕事が終わったら、店に来てくれるか?」
中村淳平は、渉の一つ上の先輩で、翔が勤めている寿司屋の息子である。
そして、翔の同僚である。
「翔が何かありましたか!?」
「いや、翔でなくて、真穂ちゃんだ。」
渉は、びっくりしていた。
「とりあえず、きてくれ。おじさん達は、おふくろが連絡するから、な、きてくれ。」
淳平の声に、
「仕事が終わりしだいお店にいきます。」
渉はそういうと受話器をおいた。
「石橋先生、今日はあがっていいよ。」
五十嵐は、渉に声をかけた。
「すいません。」
渉は白衣を脱ぐために、走った。
「走らない!!」
渉は、庄司におこられた。
「すいません。」
「石橋先生、走ったらいいことないよ。」
看護士の綾音(あやね)が声かけた。
渉は小走りにロッカーに向かった。
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