家族の時間
川村家の電話が鳴った。
淳平が渉に電話をした後だった。
麻子が一度目のコールででた。
「真穂なの!?」
「川村さん、私、中村です。」
「中村さん…あ、翔がいつもお世話になっております。翔が何かありましたか?」
麻子は少し落ち込んだ。
「いいえ、翔君は普段通りなんですが…真穂ちゃんが店に来たんです。」
「え?真穂ですか?」
麻子は聞き返した。
「お友達といらしゃたの。で、心配してらしたらいけないので、お電話したんです。…翔君の携帯がずっとなっていましたから。」
「すいません!!」
麻子は受話器を持ったまま頭を下げた。
「そこで、渉君に向いにきてもらうように連絡とりました。」
麻子は、聞いた。
「真穂はどんな感じですか?」
「ちょっと、ハイテンションと翔君が言ってましたよ。」
駄目だったのか…麻子は真穂の態度でわかった。
「すぐに迎えに行かなくてもいいんですか?」
「落ち込んだままでは、帰りにくかったんでしょう。渉君が迎えににきた時ぐらいがちょうどいいと思いますよ。」
麻子は挨拶をして、受話器をおいた。
「翔兄ちゃんのところにいるの?」
衛が麻子の隣にきた。
「試験…、駄目だったみたい。」
麻子は、ため息をついた。
「迎えに行かなくていいの?」
夕食の手伝いをしていた志穂が聞いた。
「渉が行くみたい。」
麻子はまたため息をついた。
そして、翔の勤め先に行った真穂の事を考えてみた。
しかし、麻子には理解できなかった。
< 37 / 201 >

この作品をシェア

pagetop