家族の時間
真穂はタキを見つけるとすぐに謝った。
「心配かけてごめんなさい。」
タキは真穂を見つめた。
「悩み事は少しは解消されたかい?」
タキは真穂にニコニコしながら聞いた。
「うん、親方さんに聞いてもらっていろいろ話をしたの。」
真穂は息をついた。
「真穂、座りなさい。鞠子ちゃんもどうぞ。」
麻子が口をはさんだ。
「みんな、心配かけてごめんなさい。」
真穂は頭を下げた。
「就職試験は全滅。家に帰ろうと思ったけど、翔ちゃんのお店の事が頭に浮かんだの。」
真穂は少し笑った。
「それでお寿司屋さんによったのか?」
健が聞いた。
「そう、少し楽になりました。」
鞠子は少しはにかんだ笑顔を見せた。
「アルバイトしたいの。」
真穂は唐突に言った。
「自分のしたい仕事が何かわかるまで就職しない。けど、遊んでいるわけにはいかない。だから、アルバイトしたいの。」
「わがままかもしれない…でも焦って仕事を探さないでいきたいんです。」
鞠子も真穂の言葉の後、続けてしゃべった。
「意見は変わりそうにないな。」
健太が二人を見た。
真穂と鞠子は頷いた。
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