家族の時間
志穂は、菜摘の犬の訓練所に香苗と美奈子と吾郎を入れた。
美奈子は泣きじゃくるばかり。
吾郎は、美奈子の手を握っていた。
「大丈夫?」
菜摘がやって来た。
志穂は、菜摘に抱きつきたかった。
「私、どうしたらいいかわからない?」
「ちょっと待って。」
菜摘が奥の部屋に行った。
戻ってきた菜摘は、カップを持ってきた。
「温まるから、ココアをどうぞ。」
菜摘は、一人、一人にカップを手渡した。
「ありがとうございます。」
志穂と香苗はすぐにお礼を言った。
しかし、美奈子と吾郎は泣きじゃくってばかりで何も言えなかった。
志穂は泣き出したくなった。
「志穂、どうしたか?」
往診から帰ってきた渉が、訓練所のドアを開けて入ってきた。
「渉あんちゃん!」
志穂が抱きついた。
「美奈子ちゃん、どうしたの?」
「お母さん、死んじゃった。」
美奈子の言葉に、渉と志穂は驚いた。
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