家族の時間
病院の霊安室の前のベンチに、渉達が座っていた。「あんちゃん、今何時?」
光が聞いた。
渉は腕時計を見た。
「5時30分だな。…父さんたち遅いなぁ。」
「お腹がすいた。」
由美子は呟いた。
渉は由美子を見た。
「お昼ご飯食べてないのか?」
渉の言葉に由美子は頷いた。
「ごめんな、気がつかなかった。」
「渉…どうして光とあゆみがいるんだい?」
健太が歩いてきた。
「母さんが、鍵を置いてなかったらしい。」
渉は立ち上がると、光、あゆみ、由美子も立ち上がった。
「渉、健と一緒に家に帰っていいぞ。後は、父さんがするから。…渉。」
渉は健太を見た。
「江梨子さんを見たか?」
「あぁ、病院についてすぐに…きれいな顔してたよ。」
「衛と啓悟もきてるから、後でこっちにくるように言ってくれ。」
渉達は真吾の病室に向かった。
真吾の病室の前には、渉の親友で沙織の兄、隆文が立っていた。
「隆文、どうした?」
「…渉か、中の患者さんが転院できるか見に来た。」
隆文は病室の前から動かなった。
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