家族の時間
衛の卒業式は、午前9時から始まった。
新設された高校で、入学式も卒業式も他の高校と少し違う感じが麻子はした。
「石橋 衛!」
「はい!」
名前を呼ばれ、返事をした衛は立ち上がった。
麻子は少しウルウルきていた。
式が終わると、麻子は衛を捜した。
「衛!」
麻子の声に衛が近寄ってきた。
「何、母さん?」
「卒業、おめでとう。衛、友達と遊んで遅くなるなら連絡いれなさいね。」
「わかった。気をつけて啓悟のところに行ってね。」
「ありがとう。」
麻子は衛に手を振った。
麻子が駅に向かって歩いていると携帯電話が鳴った。
ディスプレイに啓悟の名前が表示していた。
「どうしたの?」
「姉ちゃんがきてない。」
啓悟の言葉に麻子はため息をついた。
「わかったわ、家に電話をしてみるわ。だから、啓悟は心配しないで。」
麻子は携帯電話をきると、麻子のは家に電話をかけた。
麻子の不安が的中した。
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