家族の時間
救急車の中に、病院を転院する真吾と健太、医師の隆文がいた。
後ろの車にあかりと健が乗っていた。
「おじさん、今日はありがとうございました。」
真吾が礼を言った。
「家族だから、当たり前だよ。」
健太は笑いながら言った。
母親の江梨子が亡くなった後、真吾はいろいろ心配していた。
健太と麻子が借家の解約と由美子の転校手続きをした。
3月は由美子も吾郎と同じ小学校に通って、4月からあゆみの通っている小学校に転校する事になっていた。
「おじさん、吾郎は転校しなくていいのですか?」
「吾郎は六年生になるから、そのままにしたよ。」
健太は真吾に言った。
「家の子が転校するのを嫌がってね。」
嫌がっていたのはあかりだった。
前の家を買って、小学校が学区外になっていた。
あかりは小学6年生で転校を嫌がった事があった。
「おじさん、ありがとう。」真吾はもう一度健太に言った。
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