家族の時間

麻子と渉が家につくと､病院にいるはずの真吾が車椅子でいた｡
｢真吾､どうしているの?｣
麻子は驚いて聞いた｡
｢衛と啓悟の卒業パーティーだから､特別許可いただいたんだ｡｣
健が二階から降りながら言った｡
｢あ､健｡さっき､翔のお店で渡辺葵さんにあったわ｡彼女は､健の何?｣
渉はケーキを持って入ってきた｡
麻子の言葉を聞いて渉はこう思った｡
母さん､ストレートすぎる…｡
｢葵は友達だよ｡動物病院も寿司屋も良いところないかって聞いたからおしえたんだよ｡｣
｢あんた､騙されてない?｣
麻子は少し心配になった｡
｢お金貸してないよ｡それに葵は悪い人じゃないよ｡母さん､心配しなくていいよ｡｣
健は､麻子に言った｡
｢母さん､何かあったら健が報告するよ｡｣
渉がケーキを冷蔵庫に入れた｡
｢真吾､今日は楽しみにしてな｡すごいことになるから｡｣
真吾は笑った｡
渉も真吾を見て､笑った｡麻子も健も笑った｡