家族の時間
「名誉の負傷だね。」
啓悟が家の前で待っていた。
沙織は麻子から電話を受けて鞄を持って一緒に立っていた。
「怪我ぐらい平気だか、車の運転が出来ないのが困ってる。」
健は車のドアを開け降りた。
「沙織ちゃんごめんなさい、そして、ありがとう。」
麻子も降りてきた。
「おばさん、私は大丈夫です。義兄が車を運転して帰ってくれるからね。」
沙織は車を駐車場に入れる政宗を見ていた。
「啓悟、車が止まったら、真吾を車から降ろすのを手伝ってくれ。」
健が啓悟に言うと啓悟が「健兄ちゃん僕一人で大丈夫だよ。」
と言った。
「一人じゃ無理だよ。」
健が言うと沙織が口をはさんだ。
「義兄が手伝ってくれるよ。」
止まった車から、政宗が降りてきた。
啓悟は真吾の座っている前のドアを開けた。
政宗が後ろのトランクから車椅子を出した。
「ありがとう。」
真吾が礼を言った。
「沙織ちゃん、車はどこ?」
「あ、取りにいきます。帰りの運転お願いします。」沙織が言うと政宗が頷いた。
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