家族の時間
車の中で渉は衛にきいた。
渉は翔のお店に向かっていた。
「仕事はどうだった?」
渉が衛に聞いた。
「アルバイトは初めてじゃないけど、本当に肉体労働だと思った。」
衛の言葉に渉は笑った。
「なんで笑うんだよ…。」
衛はブスッとした。
「ごめん、昨日啓悟に同じ事聞いたら、啓悟も肉体労働って答えたから。」
渉が笑いながら答えた。
「動物は喋れない。だから行動で示すんだ。」
渉は赤信号になったので車を止めた。
「動物の行動は、喋れない彼らなりに僕らに自分の事を知らせるためにいろいろ行動をするんだ。」
渉の言葉に衛は頷いた。
「衛、啓悟の事が気になるかもしれない。しかし、動物はそんな事関係ないし、病院のスタッフにも関係ない。」
渉は信号が青になったので車を発進させた。
「ライバルかもしれないが、啓悟の事を気にするな。啓悟にも言ったけど、気になってたら仕事がおろそかになってしまう。」
衛は渉を見た。
「おろそかになったのが人間にわからなくて、動物にわかる時がある。だから、いつでも気を抜くな。」
渉の言葉に衛は頷いた。
渉は同じ事を啓悟にも言った。
あとは二人がどう受け取ってくれるかだった。
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