家族の時間
渉が片付けを手伝っていた。
麻子と真穂がお皿をしまっていた。
「鞠子ね、あかりちゃんの結婚式の司会のお手伝いするの。デビューがあかりちゃんの結婚式なんだ。」
「真穂は友達が司会の手伝いしてるのみると緊張しないのか?」
健太がダイニングテーブルに湯のみを置き、いつもの位置の椅子に腰をおろした。
「おじさん、逆に楽しみだよ。私も本当は手伝いたいのに、身内だから泣く泣くあきらめたの。」
真穂は興奮が冷めなかった。
「あかりちゃん!」
真穂はあかりを呼んだ。
「なに?」
あかりがキッチンにやってきた。
「ウェディングドレスは二人で選んだの?」
「そう、和宏がね、どれも似合うって言うから。」
「母さん、二階に上がるよ。」
渉は、急に手伝いを辞めた。
「光!栗はどこだ?」
「二階。」
光が渉に犬の栗太郎のいる場所を言うと、栗太郎の餌を持って二階上がった。
「渉!最後までしなさい。」
麻子が叫んだ。
「母さん、いいじやないか、今日はいろいろしてくれたんだから…あかりが手伝ってくれるよ。私の車を勝手に乗って行った罰に…なぁあかり?」
健太の言葉にあかりは頷き、渉の手伝いの続きをした。
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