家族の時間
麻子は、渉の態度が気になった。
今回だけではない。
何時かあかりが和宏の話しをした時や、家に来たときなど、急にいなくなるのだ。
「私は渉に聞こうとおもうの。」
麻子は健太に言った。
すると健太は、
「妹をとられるのがいやだからだよ、義理の兄弟でも、嫌なんだよ。」
と心配していない。
「健太さん、でも気になるの。」
「麻子、僕から渉に聞いておくよ。」
健太は麻子に言った。
「本当?」
「あかりの結婚式までには必ず。」
麻子は健太の言葉を信じた。
健太は聞かない。
渉との約束だからだ。
麻子の手前、聞くと言ったまでの事だった。
「僕は寝るよ。」
健太は立ち上がった。
あかりの結婚式まで何もない事を祈った。
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