あくまで天使です。


「はいっ!朝早くから目が覚めちゃったので」


優梨子は褒められてうれしそうに丸い頬を朱に染めた。


私は微笑ましくなり、頬を緩めた。こんなやさぐれた自分も一年前はああだったのだ。ソフトボール部に入部し、ひたすら肌を焦がし、ひたむきにバットを振っていた時代があったんだ、と再確認させられる。


あの時はただボールを投げるのが楽しくて仕方がなかった。


でも今は早めに卒業してしまった先輩の後を引き継ぎ、この部のことだけを考えるようになってしまい、あの頃の楽しさは薄れてしまった。


しかし薄れていくからこそ過去は美しいのだ。


内心で名言を吐き、満足げに自分でうなずいた。


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