あくまで天使です。


「ある日、木の陰に隠れながら成島先輩を見つめていたんですが、先輩が現れて、とても楽しそうに話しているところを見かけました」


ごく自然に喋ることのできる間柄。


たったそれだけなのに。そんなのほかにもたくさんいるのに。


「ソフトボールがすっごくうまくて、可愛くて、人気者の先輩ってことで焦ったり、悲しくなったりしました」


その思いを親友である千秋にこぼした。ちょっと泣いたりした。


千秋もそのころまでは彼女を尊敬していたが「友人を泣かせる先輩」というレッテルをはりつけてしまい、尊敬の念は憎悪に満ちた。


今にも先輩のところにのりこんでいってしまいそうな女友達を、当惑しながら引き留めた。


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