あくまで天使です。
「そうかい………」
今日のべリアル、なんか張り合いないな………。
俺様だぜ!と誇っていそうなオーラがまったくなくて大人しい。外出に疲れたのかもしれない。
「なあナギサ」
「あん?」
「………いや、早く幸せになれよ」
でかい手が髪の毛の中にうずめられる。
夕日に染まったアスファルトに伸びる漆黒の影。その影が今日ほど切なげに見えた日はない。
いや、もう一度だけあったのだがこの時は知る由もなかった。
近づいていた心が急速に、離れていくのを感じた。