あくまで天使です。
第六章~天使、思い続け復権する~
あの数週間は夢だったのではないのか、と近頃考えるようになった。
天使なんて馬鹿らしい。この世界は人が支配しているのだ。人しかいないはずだ。
そうやって思い込み、楽しくも辛くもあった記憶を封じようとしている。
だが、手元に残った思い出の品々がそうさせてくれない。
あれは現実だ、と訴えかけてくる。
不思議なことにだれも彼のことを覚えていなかった。記憶を消したのだ、と即座に分かった。
だったらなぜ私のも消していかないのか。考える間もなく理解した。
私の幸せはあの日々すべてだから。