あくまで天使です。
天使の事情説明
「ななななんで浮いてんの!?」
「あ?天使が浮くのは普通、じゃねぇのか?」
男は逆に不思議そうに言う。
「にっ人間がいちいち浮いてたら飛行機なんていらないじゃんっ!」
「人間じゃねぇって。天使」
物分かりのわりぃ女だな。男は感心しない顔つきでふんわり舞い上がっている。
私はあり得ない現状を目の前して、大パニックに陥っていた。両頬に強く手を当て、目を見開き普通じゃない光景を無理やり受け入れた。
「いっいやいや待ってって。きっとトリックなのよ。ピアノ線とかで浮かんでるように見えるだけだって」
「はぁ?上見てみろよカス」
男が人差し指を天に向ける。もちろん糸どころか男の頭上には何もなかった。果てしない暗闇が広がっているだけだ。