イト恋っ!
「聞いて驚きなさいよ雅!

文武両道で、イケメン!

シャニーズ事務所からのスカウトは数知れず!

奥川家本家の跡継ぎ……奥川 龍太郎(おくがわりゅうたろう)くん!」

奥川 龍太郎!?

驚いてみたものの、誰って感じ……

でもあのイケメン揃いのシャニーズ事務所にスカウトされたってくらいなら、期待できるかも。

「いいよ! あたし龍太郎さんだったら家庭教師でもいい!」

母はニヤリと笑うと、私に、

“奥川 龍太郎くんを家庭教師にします。”

と書かれた紙を差し出した。

下にサインをするラインがある。

あたしは勉強机の中からお気にのブランドキャラクターのシャーペンを出した。

ささっと奥川 雅と書くと、あたしは母に紙を押し付けた。

「じゃ、一週間後から来るらしいから!

本家の跡継ぎ様何だから、無礼の無いようにっ」

母は途端、機嫌をよくし、鼻歌を歌いながら下のリビングに下りていった。

娘のあたしとしてはかなり悲しいが、今日の母親はかなり気持ち悪い。

「どうしたんだうちの妙子さんは?」

まあ一段落ついた所で、改めて自己紹介。

あたしは奥川 雅。

市立大水中学校の二年生。

只今は三月十二日。

一週間後は丁度、先輩達の卒業式。

式の後片付けが大変なのに、その後にいきなり家庭教師かぁー。

まぁイケメンだし?

優秀だし? 従兄様だし?

しかも本家の跡継ぎ!

今のうちに仲良くして、将来良くしてもらおっ!

あ、本家っていうのはね、うちは結構、奥川流とか言って、華道界では有名な家なの。

そこを継ぐのが龍太郎さん!

ステキだーっ

い、いや、あんまり期待しとかない方が良いんだよ!

期待外れだったらがっかりだし!

「よっしゃあ!

今日はちゃちゃっと宿題して、ファンドスターのフィオ×ココナの同人誌買う申し込みしてぇー。」

ファンドスターは人気のプレイングスペシャル6(略してPS6)対応の人気のRPGゲームよ!
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