カエルと魔女の花嫁探し
「うっすらとですが、貴方の本当のお姿が後ろに見えます。噂で貴方が亡くなられたと聞いて、とても悲しかった……ずっと貴方に嫁ぐ日を夢見ていましたから」

 話を聞き、セレネーはフレデリカの想いを察する。

「もしかしてフレデリカさん、王子が亡くなったと思ったから修道女になったの?」

「はい。他の誰かとの結婚は考えられませんでしたから、一生をかけて王子様の御霊が天へ召されるよう祈りたかったのです」

 つまり、それだけ王子が好きってことよね。……これならイケるわ。

 内心セレネーは「よっしゃー!」と雄叫びを上げる。
 が、胸の奥がチクリと痛んだ。

(これで王子との旅も終わりか……そう思うと、ちょっと複雑ね)

 動揺を顔に出さず、セレネーはフレデリカに事情を説明する。
 それを聞いて、彼女は「私で力になれれば」と言って、カエルを両手の平に乗せた。

 少し見つめ合ってから、フレデリカはカエルにキスをした。
 ようやく呪いが解け――ると思っていたが、カエルにはなんの変化もなかった。

「「「……え?」」」

 思わず困惑した三人の声が、きれいに重なった。
< 32 / 34 >

この作品をシェア

pagetop