ワールド
一人の少女
「行ってきます!!」

「いってらっしゃーい。」


母さん今日も元気だなオイ。

今日から新入生が来るから俺は落ち込み気味だっつーの。

新入生歓迎会とかめんどいだろーがっ。


そう今日から俺の高校に新しく入学生がやってくる。

そんで、さっそく今日は新入生歓迎会があるってわけだ。

新入生なんて、どーせ、キャピキャピして……。


「ん…?なんだあの子…」


学校に行く途中にある公園で一人の女の子を目撃した。しかも俺の学校の制服。

制服がキレイなことから新入生とみた。

が、その新入生らしき少女はなぜか樹の上に登っていた。

長くつやのある髪の毛を下のほうで二つに縛っている。

…ってこんな実況いらねーよ。

危ないだろ。助けに行くか…。


「ちょっと、危ないよ?何してるのさ?」

「……う、上にマフラーが…」

「え?上に?」


樹の上を見上げると、そこには薄いピンク色をしたマフラーが引っかかっていた。

おいおい、どうしたらそんなところに…。


「女の子なんだし、そんなところ登ると危ないよ?降りてこいよ」

「で、でも…マフラーですからっ!」

「は?」

「ま、マフラーですから!マフラー大切ですッ!!」

「いや、うん。そうなんだけど…俺が取ってあげるから。」

「でもマフラーですからッッ!!!」


これは……そうとう混乱してるな。

もうマフラーですからしか言わないじゃん。

ったくどうしたものか…。


「うぬゥ…もう少しなんだけど…。」


そういうと少女は精一杯手を伸ばす。


「あっ…とれまし…あれっ…あららららっ」


少女はのんきな声で足を滑らせた。

いや、何やってんだこの人は。


「ッ…危ない!!」

「ほわっ……すいません。マフラーとれましたッ」

「お、おめでとう…」


マフラーから、一回離れろォォォォォ!!

なんとか少女をキャッチすると、俺は少女を下した。


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