ワールド


「ったく…危ないだろーが!何してんだよ!おちたらどうなっ…って…」

「すいません。もう何回も落ちてますからッ!」


そう言った少女はよく見ると傷だらけだった。


「心配ありがとうございます。あ、私、二宮 優 と申します。」


そういうと優は人懐っこく微笑んだ。

その笑顔にドキッとした自分が居たことに少し怒れた。

こんな女の子にドキッなんて…。


「…あ、俺は井野上 真。」

「真…真君?あ、でも、先輩ですよね?じゃあ真先輩で。…でももう話なんてしませんよね」


『話なんてしませんよね』そういった優は少し悲しそうな顔をした気がした。


「まァ…同じ高校だし、また話すだろ。俺に聞きたいことあったら、いつでも聞きに来いよ。あ、メールアドレス教えてやるよ。」

「えっ…でも…あ、ありがとうございます」

「うん。はい、これ」

手早く書くと、優にメアドを書いた紙を渡す。

あいにく携帯が禁止の学校なため持ってきてなかったのだ。


「じゃあ、いつかメールしますっ」


いつかて…お前…。


「あぁ。うん。あ、一緒に学校まで行くか?」

「いいですか?一緒学校行って。」

「??あぁ。いいけど」

「じゃあお言葉に甘えちゃいますね。先輩」


そういうとまた優しく微笑む。

あぁ…ダメダメ。その笑顔反則だ。


「ッ……。」

「あれ?どうした?」


優は歩き始めたかと思えば、急にとまった。


< 3 / 8 >

この作品をシェア

pagetop