アリスと子ヤギ達〜食べ過ぎは…〜[企画・もしアリス]
そして私は、ついに兄狼が手を伸ばせば届くところまで来てしまった。


「も…もも…もう…放して…あげて!!」

と、私は声を振り絞って兄狼に訴えた。

そんな私の姿を見て、

「ハッハハハハハ!!」

と、兄狼は高笑いをしてから子ヤギを放した。
と、同時に私の右腕を掴んだ。

「ア…アリシュ…ウグッ…」

と、泣きながら私を見上げる子ヤギに、

「早く…みんなの所へ…。」

と、今出来る精一杯の笑顔で私は囁いた。

「ご…ごめんなしゃい…アリシュ…。」

子ヤギは、そう言い残して、兄弟のいる木に向かって走り、そして登っていった。
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