アリスと子ヤギ達〜食べ過ぎは…〜[企画・もしアリス]
私は、逃げ損なった敗北感、食べられる恐怖、諦めに支配され、兄狼のなすがままになっており、声すら出す事が出来ないでいた。
頬を伝わる涙を感じる事はできるが、その涙の意味を考える事さえ出来ない…。

やがて、兄狼が喉をゴクッと鳴らした時、私の顔は喉の奥、食道辺りまで吸い込まれた。

いよいよ…か…。
お母さん…。
食いしん坊でごめんね…。
お姉ちゃん…。
生意気言ったりしてごめんね…。

生まれ変わっても…、二人と一緒になりたいよ…。

私は最後の時を感じていた…。
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