珈琲時間
 「へ?」
 「俺も、今日は家族と過ごすけど。ってか、家族で過ごさないと、母親と父親が泣くし」

 仲間発見。

 「もー、ほらいるじゃん、家族と過ごす派。誰もかれもが恋人たちの夜だと思わないでよ。ねぇ、新島」

 援護射撃を受けたかのように胸を張ると、ちょうどエレベーターが到着して、忘年会はできなかったけど、新年会はしようー、なんていいながらみんなが散っていく。

 「遥も新島も、親離れが出来てないんじゃない?」
 「失礼な、ってかやけにつっかかるけど、菜々ってばどうしたの?」
 「…………なんでもなーいっ」

 先を行く菜々に首を傾げると、ちょんちょん、と軽く肩をつつかれた。
 「? 新島?」
 「たぶん、あれ。うちのせい」
 「え?」
 「アイツと、うちの兄貴付き合ってるんだけど、家、クリスマスは家族団らん派で、一昨日喧嘩したらしいから」
 「へー、って、ええ?! 新島のお兄ちゃんと菜々が?!」
 「うん。だから、きっと八つ当たり」

 うわー、世間は狭い。
 そう思いながら、ふと考える。

 もしものときに、わたしだったら家族と恋人どっちを取るだろうか。
 「ね、新島だったら、クリスマスに彼女と家族、どっち取る?」
 「は? ……どうせだったら、彼女の家族も呼んでパーティ、とか?」 
 「うわ、絶対思ってないよね? そういう意味じゃなくてさ」

 「んー、わかんね」
 「だよねぇ」

 今はまだ。
 来年のクリスマスがどうなっているか楽しみだ。

● 最初に思い浮かんだのは、もっとドキドキしたんだけど。書いてるうちに眠気に勝てず……精進します。
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