青い月の夜に
困惑した顔をしている私を見つめながら、ハルキがぽつりぽつりと語り始めた。
「俺は類のもう一つの人格だ。類は小さい頃に親に捨てられた。そのせいか、ずっと他人を拒絶して哀しみの中で1人で生きてきた。そんな類の寂しさから逃れたいって強い感情から生まれたのが俺だった」
ハルキは哀しそうな瞳で遠くを見つめた。
まるで、過去を見つめるように。
私は“捨てられた”という単語と、類さんがこの前言っていた“家族はいないんだ”って言葉を重ね合わせていた。
親に捨てられたというトラウマで、人に心を許せないなんてとても悲しい事だと思った。
「俺は類が心の奥に封じ込めた、怒りや悲しみ……そして、嬉しさっていう感情全てを類の代わりに持って生まれた。その感情から類を守るために。そして、類を傷つける全てのものから守るために……」
そこまで言うと、ハルキは歯を食いしばった。