青い月の夜に


真剣な瞳に射抜かれ、身動きが出来なくなる。




心臓が早鐘を鳴らす。




「でも、真子ちゃんの気持ちはわかってるから」




パッと腕を掴んでいた手が離れ、類さんが微笑みを浮かべる。




いつもの類さんの表情にホッとする。




「その人に会えるの、楽しみにしておくよ」




その言葉に胸がズキっと痛む。




「会えないんです……。もう、会えなくなっちゃうんです」




私は俯いて拳をギュッと握った。



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