青い月の夜に
「本当は真子と会った時、俺は消えるつもりなんか無かったんだ」
不意にハルキが零す。
どういうこと?
頭を撫でていた手が止まる。
「俺は類が嫌いだった。意気地なしで自分の意思なんて全く無い類が。あいつが主人格なのが許せなくて、いつか類を消してやろうって……。最低だろ……」
私はゆっくりかぶりを振った。
なんとなくハルキの気持ちはわかる。
だって、もしも私がハルキと同じ立ち場だったら、消えたくない。
自分が消えてしまうのは怖い。
ハルキはそんな恐怖と隣り合わせで生きてきたんだ。