Happy☆婚活
 パーティー会場に入ると、男女一列ずつ、皆きれいに並んで座っている。プロフィールカードと呼ばれる自己紹介で使われるカードに記入を始めている人もいる。このカードを使って会話を始めるのだ。
 新菜は11番のカードと胸につける11番の番号プレートを受付の女性から渡されて席に着く。周りを見渡してみる。知っている人は、いない。土曜日のパーティーは仕事がお休みというだけあって男性もカジュアルな服装で来ている人が多い。そのせいだからか、ハイステ男性に見える人が一人もいなかった。新菜は、ここにいる男性がハイステなんだと自分に言い聞かせるように男性陣を見渡した。

 その日のパーティーでは4人のハイステ男性のメルアドをゲット。内、一人の男性に食事に誘ってもらった。もちろん断る理由もなく、即了承。近くのイタリアンでランチをして帰った。家に着くまでの間に他3人からもメールが来ていた。
 『今日はありがとう。今度ぜひ食事しましょう。いつが暇?』
 『今日は楽しかったね。次の休みはいつ?』
 『先ほどお話した大海です。覚えてる?また会いたいな。』

 新菜はパーティーに行くといつもこんな調子で誰にでもメルアドを教えてしまうので次々と携帯の連絡先が増えていく。
 “どうしようかな。”
 新菜としてはいい人がいれば勿論、まずは友達として一度は食事してみたいと思う。でもパーティーから帰って家に着くと何故だか婚活熱が冷めてしまうのだ。
 “返信しないのは失礼になるしな。こちらこそありがとうのメールを送っておしまいにしようかな。”

こんな時、急にパーティーに行ったことを後悔する。
 “みんな真剣に婚活しているのに。”
 新菜も遊びのつもりでパーティーに行った訳では決してない。でも、家に帰って複数の人とメールをしていると毎回投げ出したくなる。今日行ったパーティーを無かったことにしたくなる。

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