双子の兄弟
「入るよ~」
ドアの向こうから兄さんの声がした。
「うん」
「失礼しま~す…あ!君が冷斗の友達?初めまして!オレ、冷斗の双子の兄の冷太って言います!よろしく!」
兄さんは僕の部屋にズカズカと入って来て大希に挨拶をする。
大希は立ち上がって「初めまして!冷斗の友達の大希です!……本当そっくりですね!」
それから二人の会話は弾み、僕なんて最初からいなかったかのようにいろんな会話で盛り上がっている。
僕は絶望の淵に立たされているような気分だった。
二人の笑い声が部屋に響く。
なんで…?なんで兄さんは僕から全てのものを奪うの…?
「あ…冷斗ゴメンな!つい話が盛り上がっちゃって」
大希は少し苦笑しながらそう言った。
「いや、気にすんなよ!」
僕は慌てて作り笑いをした。