双子の兄弟
僕は自分の部屋に置いてある金属バットを持った。
床にズルズルと引きずりながら兄さんの部屋へと向かう。
「兄さん…。入っていい?」
僕は低い声で静かにそう言った。
「冷斗?いいよ」
馬鹿な奴。これから僕に殺されるとも知らないで…。
部屋に入ると兄さんはベッドの上で横になり、本を読んでいた。
「冷斗?なんか用か?」
兄さんはいつも通りの優しい声で僕に話しかける。
ズルズルと引きずってきたバットを振り上げた。
「……冷斗。オレを殺すつもりか?」
兄さんの言葉に僕は思わずバットを床に落としてしまった。
「冷斗。お前にはオレを殺せないよ?その前にオレが殺すから…」