双子の兄弟
僕は耳を疑った。
いつも優しい声で僕を心配する兄は…
低く、恐ろしい声だったからだ。
今ここにいるのは兄さんなのか?
兄さんはゆっくり僕に近づいてくる。
僕は床に落とした金属バットを拾い上げ、構えた。
「冷斗…。俺さぁ…ずっと前からお前の事、憎くくて憎くくてどうしようもなかったんだ…」
「それは僕のセリフだー!!兄さんはいつも僕の邪魔ばかり……!」
兄さんの部屋は暗く、ついているのはパソコンの明かりだけ。
「兄さんは頭も良くて何でもできる…僕の気持ちなんて全然わかってないくせに……!ずるいんだよ!ずるいずるいずるい!!!」
僕は涙声で兄さんにそう言った。