双子の兄弟
「何言ってんの…?俺が何でもできる?冷斗の気持ちがわからない?…ふざけんなよ…」
兄さんは震える声でそう言った後、ゆっくりと口を開きこう言い放った。
「ふざけんな!!俺だって苦しかったんだよ!辛かったんだよ!確かに俺は周りの人間からちやほやされてきた。けどなぁ、そんな俺に友達だった奴らは皆どっかに行っちまうんだよ!」
そう言って兄さんは窓の方へゆっくりと移動した。
窓から刺す月の光に照らされた兄さんの顔は今まで見たことのない深い悲しみの底へ落ちていくような顔だった。
深く傷ついた兄さんの心が少しわかるような気がした。
すると突然、兄さんは綺麗な月を見つめながらニッコリと微笑んだ。
そして静かにこう言った。
「冷斗。ショータイムの時間が来た」
僕は小さく頷いた。