双子の兄弟
そして僕はバットを兄さんに向けて振りかざす。
何度も何度も……。
気づけば部屋は紅い血の色に染まり、壁や床には無数の穴が開いていた。
兄さんは床に倒れ、苦しそうに呼吸をしている。
「兄さん。苦しい?」
僕はしゃがみ込み、兄さんにそう尋ねた。
「…苦し…い…」
兄さんはか細い声でそう言った。
「じゃあさぁ、早く楽になりたいだろう?」
「冷斗…言っ…たはず…だ……。お…お前に……こ……殺されるま…え… に…俺が殺す…って…」
ガチャ――。
「ただいまー」
外出していた母さん達が帰って来たらしい。
「あー。帰って来ちゃったね。邪魔される前に今すぐショータイムを終わらせなきゃ…」
僕は兄さんに優しく微笑んでそう言った。
「……ふ…ふざけ…るな…!俺が終わらせるんだぁぁあぁぁ!!!」
そう言って兄さんは物凄い勢いで立ち上がり、刃物を持って僕に襲い掛かって来た。