双子の兄弟
果物を持った兄さんが病室に入って来た。
「……冷太、ちょうど良かった。私、ちょっとお花を買って来るわ!冷斗のことよろしくね。」
「うん。分かった。気をつけてね」
母さんはニッコリ微笑むと病室から出て行った。
僕がいるこの部屋は個室で今は兄さんと2人だけだ。
「冷斗、果物持って来たから食べる?切ってあげるけど?」
兄さんは前の優しい兄さんだった。
僕は悪夢を見ていたんだ。
あれは全て夢だったんだ……。
僕は今でも兄さんのことが憎いけど、前よりは憎くなくなっていた。
「……うん。ありがとう…」
僕は目を反らしたままそう答えた。