小さな恋のうた *毎日更新中*
『マジ、ありえねぇから』


「ごめんって」


グランドに行くと、大樹たちがストレッチを始めていた。


『おまえ、今度やったら、ぶっ殺すからな』


今日の早川の話だとすぐに分かった。


『まぁまぁ、和馬だって悪気があったわけじゃないんだし』


会話に割って入る。


『悪気がないからタチが悪いんだよ。またやるかもしれないだろ』


大樹が声を荒げた。


「もうしないって。もう、鞠ちゃんには絡みません」


『鞠ちゃんって気安く呼ぶな』


大樹が和馬に背中を向けた。


『大樹、そんな怒るなって』


『るせっ!!早川がどんな顔してたか知ってるか?困ったような泣きそうな顔してたんだぞ』


大樹がここまで不機嫌になるのは珍しい。


それだけ早川のことが好きなんだろう。


「あ、鞠ちゃん」


茂がグランドの横を帰っている早川を見つけた。


「ランニングしようぜ。今なら間に合うかも」


不機嫌大樹の腕を掴んで、茂が走り出した。


大樹の機嫌を直せるのは、茂くらいかもしれない。


大樹たちのあとを、和馬たちと追いかけた。


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