魔王と王女の物語
魔王のコハクを倒し、ゴールドストーン王国の王となったカイはその夜一人で考え事をしながら酒を飲んでいた。
…背中側に立つ何者かの気配を感じていて、立てかけてあった魔法のかかった剣に手を伸ばした。
「何の用だ」
――ラスが眠った後城内を歩き回っていたコハクが、王の私室をはじめて訪れる。
影を伝いながらカイと真向かいの椅子に座るとグラスを差し出した。
「俺さあ、あと10年位で復活できそうなんだけどどう思う?」
「…また世界を手中に収めようとするのなら、また俺がお前を倒しに行くぞ」
唯一この身体に傷をつけた男が静かにそう言うと、
コハクは自分でグラスに蒸留酒を注ぎながら一気に呷った。
「世界にはもう特別興味はないな。俺は今もっぱらお前の娘に興味津々なんだ。チビは美人になる」
くつくつと笑い、生まれる前からコハクに呪いをかけられてしまったラスを不憫に思いながらも、縋る思いで聞いてみる。
「お前を切り離すためにはどうすればいいんだ?俺を殺したいのか?だとすれば…」
「お前の命なんか別にもうどうでもいい。言ったろ、今はラスに執心していると。ああ、早くヤりてえなあ」
…そんな下品な目でラスを見ているのかと思うと沸々と怒りが湧き上がって来てまた魔法剣に手を伸ばそうとしたが…
影であるコハクにはどんな攻撃も無意味だ。
それにコハクの城で対峙した時、致命傷を負わせるのに何時間もかかった。
…そして不死のコハクは、自分に呪いをかけた。
「お前が子供なんか作らなきゃよかったのにな。身から出た錆ってわけだ」
「…で?お前をラスから切り離すためには、どうすればいい?」
しつこく食い下がるカイに、秀麗な美貌に無邪気な笑顔を浮かべてグラスを掲げた。
「俺の城までチビが来ればいいんだ。ただし十年後に俺が復活した時にな。簡単だろ?」
ラスを…あんな混沌とした場所に?
――黙り込んだカイの肩を親しげに叩いてグラスをテーブルに置くと、影に沈んで消えた。
『その時までに、チビの“勇者様”として俺に惚れさせてみせる。ざまあみろだ』
…最高に性格が悪かった。
…背中側に立つ何者かの気配を感じていて、立てかけてあった魔法のかかった剣に手を伸ばした。
「何の用だ」
――ラスが眠った後城内を歩き回っていたコハクが、王の私室をはじめて訪れる。
影を伝いながらカイと真向かいの椅子に座るとグラスを差し出した。
「俺さあ、あと10年位で復活できそうなんだけどどう思う?」
「…また世界を手中に収めようとするのなら、また俺がお前を倒しに行くぞ」
唯一この身体に傷をつけた男が静かにそう言うと、
コハクは自分でグラスに蒸留酒を注ぎながら一気に呷った。
「世界にはもう特別興味はないな。俺は今もっぱらお前の娘に興味津々なんだ。チビは美人になる」
くつくつと笑い、生まれる前からコハクに呪いをかけられてしまったラスを不憫に思いながらも、縋る思いで聞いてみる。
「お前を切り離すためにはどうすればいいんだ?俺を殺したいのか?だとすれば…」
「お前の命なんか別にもうどうでもいい。言ったろ、今はラスに執心していると。ああ、早くヤりてえなあ」
…そんな下品な目でラスを見ているのかと思うと沸々と怒りが湧き上がって来てまた魔法剣に手を伸ばそうとしたが…
影であるコハクにはどんな攻撃も無意味だ。
それにコハクの城で対峙した時、致命傷を負わせるのに何時間もかかった。
…そして不死のコハクは、自分に呪いをかけた。
「お前が子供なんか作らなきゃよかったのにな。身から出た錆ってわけだ」
「…で?お前をラスから切り離すためには、どうすればいい?」
しつこく食い下がるカイに、秀麗な美貌に無邪気な笑顔を浮かべてグラスを掲げた。
「俺の城までチビが来ればいいんだ。ただし十年後に俺が復活した時にな。簡単だろ?」
ラスを…あんな混沌とした場所に?
――黙り込んだカイの肩を親しげに叩いてグラスをテーブルに置くと、影に沈んで消えた。
『その時までに、チビの“勇者様”として俺に惚れさせてみせる。ざまあみろだ』
…最高に性格が悪かった。