魔王と王女の物語
「リロイ!こっちこっち!」
ラスが大きく手を振って、坂から足早に降りてくるリロイのマントを握った。
「ごめん、心配した?」
「うん、心配したよ。ねえ、上はどうなってたの?」
ラスから“心配した”と言われて少し照れたリロイが肩を抱いてカフェの中へ入ると…
やはり心の狭い魔王がリロイに向かってひゅっとフォークを投げて、頬をかすめた。
「コー、やめて!リロイ、大丈夫?」
「ん、平気。上にも人は居なかったけど…霧がさらに濃くなってた。あと森から変な唸り声がしてた。魔物かもしれないからここから立ち去った方がいいかも」
「ふうん、じゃあもらえるもんだけもらって出てくか」
勝手に厨房を漁り、食材をラスの影に次々と放り込み、町を出ようとしたのだが…
「…ん?」
何か障壁のようなものがあって、町から出ることができない。
相変らず霧が濃過ぎて周囲の景色はわからなかったが、結界のようなものが張られていて外に出れないのだけは確かだった。
「やっぱり魔法使いだな。へえ、俺以外に居たとはこりゃ驚きだ。ま、そいつを殺ししゃいいんだろ?宿を捜そうぜ」
「コー、殺すとか簡単に言っちゃ駄目だよ。その人だって人間でしょ?」
「でも俺たちをここに閉じこめようとしてるんだぞ?じゃあチビに免じて半殺しで済ませてやるよ」
陽が落ちたことで気温がぐんぐん下がって行き、ラスがくしゃみをしたので魔王が真っ黒なマントの中に引き入れて身体をべったり密着させた。
「あったかーい。コー、ありがと」
「もっと身体があったまるようなことしてやろうか?チビにだけ特別に」
「それってどんなこと?」
「後でじっくり教えてやるよ」
ティアラが何度もこちらを盗み見していることに気付いている魔王は、すっと近寄って耳に息を吹きかけた。
「きゃっ!?やめなさい!」
「俺に惚れかけてるんだろ?お前の身体もあっためてやろうか?」
かあっとティアラの頬が赤くなり、会話の真意を見出せないラスがぽんと手を叩いた。
「じゃあティアラも一緒に!」
「ワーオ、そりゃ楽しみだな」
魔王、ご満悦。
ラスが大きく手を振って、坂から足早に降りてくるリロイのマントを握った。
「ごめん、心配した?」
「うん、心配したよ。ねえ、上はどうなってたの?」
ラスから“心配した”と言われて少し照れたリロイが肩を抱いてカフェの中へ入ると…
やはり心の狭い魔王がリロイに向かってひゅっとフォークを投げて、頬をかすめた。
「コー、やめて!リロイ、大丈夫?」
「ん、平気。上にも人は居なかったけど…霧がさらに濃くなってた。あと森から変な唸り声がしてた。魔物かもしれないからここから立ち去った方がいいかも」
「ふうん、じゃあもらえるもんだけもらって出てくか」
勝手に厨房を漁り、食材をラスの影に次々と放り込み、町を出ようとしたのだが…
「…ん?」
何か障壁のようなものがあって、町から出ることができない。
相変らず霧が濃過ぎて周囲の景色はわからなかったが、結界のようなものが張られていて外に出れないのだけは確かだった。
「やっぱり魔法使いだな。へえ、俺以外に居たとはこりゃ驚きだ。ま、そいつを殺ししゃいいんだろ?宿を捜そうぜ」
「コー、殺すとか簡単に言っちゃ駄目だよ。その人だって人間でしょ?」
「でも俺たちをここに閉じこめようとしてるんだぞ?じゃあチビに免じて半殺しで済ませてやるよ」
陽が落ちたことで気温がぐんぐん下がって行き、ラスがくしゃみをしたので魔王が真っ黒なマントの中に引き入れて身体をべったり密着させた。
「あったかーい。コー、ありがと」
「もっと身体があったまるようなことしてやろうか?チビにだけ特別に」
「それってどんなこと?」
「後でじっくり教えてやるよ」
ティアラが何度もこちらを盗み見していることに気付いている魔王は、すっと近寄って耳に息を吹きかけた。
「きゃっ!?やめなさい!」
「俺に惚れかけてるんだろ?お前の身体もあっためてやろうか?」
かあっとティアラの頬が赤くなり、会話の真意を見出せないラスがぽんと手を叩いた。
「じゃあティアラも一緒に!」
「ワーオ、そりゃ楽しみだな」
魔王、ご満悦。