魔王と王女の物語
宿屋を発見して中へ入り、一番奥の角部屋を魔王が選んでラスを誘い込んだ。
「狭いな。これじゃチビの鳴き声とか聞かれるじゃん。あ、それもいいな、小僧に思い知らせてやろう」
「鳴き声?ねえコー、ドレッサーの前にメモがあるよ」
1人で妄想してにやついていた色ぼけ魔王の元にメモを持ってやって来たラスをシンプルな1人用のベッドに座らせて、覗き込んだ。
『夜に気を付けろ』
――走り書きだ。
コハクはこの町に入った時から感じていた。
“見られている”と。
だが自身の力に対して絶対的な自信があるので放置しておいたのだが…
「ラス、私の部屋にこれが…」
ノックして入って来たティアラの手にもメモ。
『部屋中の鍵を閉めて朝まで息を潜めろ』
ますます不可解になって、部屋の窓から外を見下ろしたが…霧がかかっていて何も見えない。
そしてまたラスがくしゃみをして、コハクがラスの両手を取り、息を吹きかけて温めてやる。
「もうちょっと待ってろよ、一緒に風呂に入ろうぜ」
「うん」
躊躇なく頷いたラスにティアラが唖然。
「ラス、1階に談話室があるよ、暖炉もあるからおいで」
「暖炉?行く行く!」
「俺もチビで…なんでもねえ」
「?」
とりあえずコハクの訳の分からない言動は無視して3人で1階へ降りると、すでに暖炉には火が入っていて、鎧を脱いだラフな格好をしたリロイがラスとティアラの肩に毛布を掛けた。
「僕の部屋にもメモがあったよ。『長い間霧に触れるな』って書いてあった。日付が書いてあったんだけど…3日前に書かれたもので、恐らく今日までの間に何かあったんだろうね」
「コー、怖いよ…。魔物?魔法使い?どっち?」
「魔法使いが魔物を操ってるのかもな。お、ベルルが帰ってきたぞ」
外から窓を叩いているベルルを中へ入れてやり、寒さでがたがた震えるベルルをラスが掌に乗せて暖炉の前に連れて行く。
「で、どうだった?」
「裏手の山に何か居ます。よく見えなかったけど…沢山の人間と、魔物でした」
魔王が鼻を鳴らした。
「おもしれえ」
「狭いな。これじゃチビの鳴き声とか聞かれるじゃん。あ、それもいいな、小僧に思い知らせてやろう」
「鳴き声?ねえコー、ドレッサーの前にメモがあるよ」
1人で妄想してにやついていた色ぼけ魔王の元にメモを持ってやって来たラスをシンプルな1人用のベッドに座らせて、覗き込んだ。
『夜に気を付けろ』
――走り書きだ。
コハクはこの町に入った時から感じていた。
“見られている”と。
だが自身の力に対して絶対的な自信があるので放置しておいたのだが…
「ラス、私の部屋にこれが…」
ノックして入って来たティアラの手にもメモ。
『部屋中の鍵を閉めて朝まで息を潜めろ』
ますます不可解になって、部屋の窓から外を見下ろしたが…霧がかかっていて何も見えない。
そしてまたラスがくしゃみをして、コハクがラスの両手を取り、息を吹きかけて温めてやる。
「もうちょっと待ってろよ、一緒に風呂に入ろうぜ」
「うん」
躊躇なく頷いたラスにティアラが唖然。
「ラス、1階に談話室があるよ、暖炉もあるからおいで」
「暖炉?行く行く!」
「俺もチビで…なんでもねえ」
「?」
とりあえずコハクの訳の分からない言動は無視して3人で1階へ降りると、すでに暖炉には火が入っていて、鎧を脱いだラフな格好をしたリロイがラスとティアラの肩に毛布を掛けた。
「僕の部屋にもメモがあったよ。『長い間霧に触れるな』って書いてあった。日付が書いてあったんだけど…3日前に書かれたもので、恐らく今日までの間に何かあったんだろうね」
「コー、怖いよ…。魔物?魔法使い?どっち?」
「魔法使いが魔物を操ってるのかもな。お、ベルルが帰ってきたぞ」
外から窓を叩いているベルルを中へ入れてやり、寒さでがたがた震えるベルルをラスが掌に乗せて暖炉の前に連れて行く。
「で、どうだった?」
「裏手の山に何か居ます。よく見えなかったけど…沢山の人間と、魔物でした」
魔王が鼻を鳴らした。
「おもしれえ」