魔王と王女の物語
“化け物”
そう呼ばれたことが実はかなり堪えていて、
王室お抱えの教師から勉強を教わりながらもラスは上の空だった。
「コーは…化け物なの?」
「ラス王女、影と話をしてはいけませんよ」
注意を受けて唇を尖らせたが、一人だけの授業に集中し、コハクは相変わらずくつくつと笑っている。
「やっと終わったー!リロイのとこ行ってみよっと」
昨日リロイが部屋を訪れたことを知らないラスは部屋を飛び出して、白騎士団の詰所に脚を向けた。
『あいつなんか放っておけよ。それよかチビはちょっと女らしさを勉強した方がいいぜ』
「なんで?女の子らしくないの?」
…ふわふわのフリルのついたピンクのドレス姿でくるくる回ると、また影が笑った。
『ぜーんぜん駄目。後さ、もっと沢山食えって。でないと胸も大きくなんないからな』
「胸?なんで大きくしないといけないの?」
『それはお前……その方が楽しいからだよ』
相変らずコハクの言うことはよくわからないので、城の横に建てられている立派な白亜の建物に入って行くと、
詰めていた騎士たちが一斉に片膝をついた。
「ねえ、リロイは居る?」
かしずかれていることに慣れているラスがどんどん奥に入っていくと、
裏手側の鍛錬所には、真っ白な鎧を着て、大人の騎士と剣を打ち合っているリロイが居た。
「リロイ、怪我してるのに!」
「!ラス!」
「よそ見厳禁だぞ」
相変らず注意力散漫なリロイは喉元に剣を突きつけられて、降参ポーズを取りながら剣を地面に落とした。
「参りました…」
「我々は格式のある白騎士団だ。これしきで集中を欠いてはラス王女をお守りできないぞ」
叱られてしゅんとなったリロイにラスが飛びつくと、必死になって庇い、縋り付いた。
「怒らないで、リロイは昨日私を守ってくれたの!だから怒るんじゃんくて誉めてあげて!」
「ラス…」
――小さなお姫様。
絶対僕が命を懸けて守ってあげるからね。
だからヘンタイ魔王に懐いちゃ駄目だよ。
…そう言いたいのを我慢して、笑顔を作った。
そう呼ばれたことが実はかなり堪えていて、
王室お抱えの教師から勉強を教わりながらもラスは上の空だった。
「コーは…化け物なの?」
「ラス王女、影と話をしてはいけませんよ」
注意を受けて唇を尖らせたが、一人だけの授業に集中し、コハクは相変わらずくつくつと笑っている。
「やっと終わったー!リロイのとこ行ってみよっと」
昨日リロイが部屋を訪れたことを知らないラスは部屋を飛び出して、白騎士団の詰所に脚を向けた。
『あいつなんか放っておけよ。それよかチビはちょっと女らしさを勉強した方がいいぜ』
「なんで?女の子らしくないの?」
…ふわふわのフリルのついたピンクのドレス姿でくるくる回ると、また影が笑った。
『ぜーんぜん駄目。後さ、もっと沢山食えって。でないと胸も大きくなんないからな』
「胸?なんで大きくしないといけないの?」
『それはお前……その方が楽しいからだよ』
相変らずコハクの言うことはよくわからないので、城の横に建てられている立派な白亜の建物に入って行くと、
詰めていた騎士たちが一斉に片膝をついた。
「ねえ、リロイは居る?」
かしずかれていることに慣れているラスがどんどん奥に入っていくと、
裏手側の鍛錬所には、真っ白な鎧を着て、大人の騎士と剣を打ち合っているリロイが居た。
「リロイ、怪我してるのに!」
「!ラス!」
「よそ見厳禁だぞ」
相変らず注意力散漫なリロイは喉元に剣を突きつけられて、降参ポーズを取りながら剣を地面に落とした。
「参りました…」
「我々は格式のある白騎士団だ。これしきで集中を欠いてはラス王女をお守りできないぞ」
叱られてしゅんとなったリロイにラスが飛びつくと、必死になって庇い、縋り付いた。
「怒らないで、リロイは昨日私を守ってくれたの!だから怒るんじゃんくて誉めてあげて!」
「ラス…」
――小さなお姫様。
絶対僕が命を懸けて守ってあげるからね。
だからヘンタイ魔王に懐いちゃ駄目だよ。
…そう言いたいのを我慢して、笑顔を作った。