魔王と王女の物語
ラス、16歳に
それから10年後――ラスは予想通り、ものすごい美女に育った。
…いや、“美少女”と言った方が正しい。
大きなグリーンの瞳は好奇心の光に溢れ、すらりと伸びた手足は真っ白でいて長く、細い。
…ただ、やや胸が想定より小さいが、まあそれもいいだろう。
「俺が大きくしてやればいいだけの話だしな」
16歳の誕生日を迎えた朝、
コハクがラスの影から抜け出て窓を開けて、初夏の風を楽しんでいると…
「コハク様ーっ!」
耳元をびゅんびゅんと飛び回る“何か”を手で素早くキャッチすると、
手の中でもがく“何か”が喋った。
「もうっ、ひどいじゃないですか!」
「ようベルル。俺の身体、ちゃんと守ってくれていたか?」
「あんなとこ、誰も来やしませんよ。それにあの棺は絶対に壊せませんから。コハク様、やっとお身体に戻れますね!」
――コハクが手でわしづかみにしているのは、
膝上までの短いフリルのドレスを着た、小さな小さな女の妖精だった。
胸元が大きく開いて、もがく度にぷるると揺れていたが、コハクは一向に興味を示さず放してやると、甘い声を出した。
「ねえコハク様?ご褒美を下さいな。16年も城で棺を守っていたんですから…」
「会ったしょっぱなからエロい要求だな。大きいサイズになれ」
「やった!」
――腕組みをしてベッドで気持ちよさそうに眠っているラスに目を遣っているコハクの視界に立ちふさがるようにして、
160㎝ほどの背になったベルルがしなだれかかってきた。
「お願い、早く…」
「…チビにその色気の欠片もあればな。目を閉じろ」
「はい。…ん…」
一度ぺろりと唇を舐めてから舌を絡めた深いキスをして、ベルルの身体がわなないた。
…針山の頂上の城で暮らしていた時は、毎日のようにコハクに抱かれて、愛されたのに――
今はこんな小娘に執心していることが憎らしくて仕方がない。
「…コー?」
「おっと」
ラスが目を擦りながらこちらを見ている。
少し慌てたように身体を離したコハクのことも…憎らしかった。
…いや、“美少女”と言った方が正しい。
大きなグリーンの瞳は好奇心の光に溢れ、すらりと伸びた手足は真っ白でいて長く、細い。
…ただ、やや胸が想定より小さいが、まあそれもいいだろう。
「俺が大きくしてやればいいだけの話だしな」
16歳の誕生日を迎えた朝、
コハクがラスの影から抜け出て窓を開けて、初夏の風を楽しんでいると…
「コハク様ーっ!」
耳元をびゅんびゅんと飛び回る“何か”を手で素早くキャッチすると、
手の中でもがく“何か”が喋った。
「もうっ、ひどいじゃないですか!」
「ようベルル。俺の身体、ちゃんと守ってくれていたか?」
「あんなとこ、誰も来やしませんよ。それにあの棺は絶対に壊せませんから。コハク様、やっとお身体に戻れますね!」
――コハクが手でわしづかみにしているのは、
膝上までの短いフリルのドレスを着た、小さな小さな女の妖精だった。
胸元が大きく開いて、もがく度にぷるると揺れていたが、コハクは一向に興味を示さず放してやると、甘い声を出した。
「ねえコハク様?ご褒美を下さいな。16年も城で棺を守っていたんですから…」
「会ったしょっぱなからエロい要求だな。大きいサイズになれ」
「やった!」
――腕組みをしてベッドで気持ちよさそうに眠っているラスに目を遣っているコハクの視界に立ちふさがるようにして、
160㎝ほどの背になったベルルがしなだれかかってきた。
「お願い、早く…」
「…チビにその色気の欠片もあればな。目を閉じろ」
「はい。…ん…」
一度ぺろりと唇を舐めてから舌を絡めた深いキスをして、ベルルの身体がわなないた。
…針山の頂上の城で暮らしていた時は、毎日のようにコハクに抱かれて、愛されたのに――
今はこんな小娘に執心していることが憎らしくて仕方がない。
「…コー?」
「おっと」
ラスが目を擦りながらこちらを見ている。
少し慌てたように身体を離したコハクのことも…憎らしかった。