魔王と王女の物語
ずっと話しかけてくるラスに心を許したのか、グラースがぽつぽつと話をするようになっていた。
独り占め万歳の魔王はこういう時どうすればいいのか知っている。
わざとラスから離れるのだ。
たき火を中心に魔王が結界を張り、ラスから離れた所でごろんと横になるとベルルで手遊びを始めた。
グラースと話をしながらもそんな魔王が気になり、ラスが話を切り上げて隣に移動してきた。
「コー、お話しよ」
「あいつと話してたらいいじゃん」
――素っ気なくされて、何だか急に焦りを感じたラスは腕を引っ張ってコハクの気を引く。
「コー、妖精さんの森ってどんな所?」
「あいつに聞いたらいいじゃん」
コハクはこっちを見ようとしない。
「ラス、僕と話そうよ。何が知りたいの?」
リロイが金の瞳を和らげて気を使ってくれて、ちょっとうるっときたラスはそれでもコハクの隣から離れずに一緒に寝ころがると背中にぴったりとくっついた。
「チビ、邪魔なんだけど」
「…邪魔にならないようにするからここに居させて…」
…にやり。
そうやって少しずつくっついたり離れたりを繰り返して、ラスを虜にさせる。
魔王の作戦はものの見事に成功し、寝返りを打ってラスと向き合うとぱっと顔が輝いた。
そしてラスの手にベルルを乗せて、背中を突く。
「ベルル、教えてやれよ」
「えー、あたしが?…妖精の森は普通の人間には入り口がわからないようになってるはずなんだけど…」
「そうなの?どうしてグラースは入れたんだろ?」
「迷い込んだんだろ。そうやって人を迷わせて弄んで殺すこともあるからな」
「…私は城までたどり着いた。だから女王が激怒して私を呪ったんだ」
木に寄りかかっていたグラースがようやく喋り、魔王はこちらから目を離さないラスに内心うきうきしながら真面目くさった顔をした。
「俺は入り口知ってるぜ。女王め…そんなに俺に会いたいのかよ。1度寝ただけなのにな」
「寝た?」
「チビは知らなくていいのー。じゃ、寝るか」
「うんっ」
妖精の森はこの時…大変なことになっていた。
独り占め万歳の魔王はこういう時どうすればいいのか知っている。
わざとラスから離れるのだ。
たき火を中心に魔王が結界を張り、ラスから離れた所でごろんと横になるとベルルで手遊びを始めた。
グラースと話をしながらもそんな魔王が気になり、ラスが話を切り上げて隣に移動してきた。
「コー、お話しよ」
「あいつと話してたらいいじゃん」
――素っ気なくされて、何だか急に焦りを感じたラスは腕を引っ張ってコハクの気を引く。
「コー、妖精さんの森ってどんな所?」
「あいつに聞いたらいいじゃん」
コハクはこっちを見ようとしない。
「ラス、僕と話そうよ。何が知りたいの?」
リロイが金の瞳を和らげて気を使ってくれて、ちょっとうるっときたラスはそれでもコハクの隣から離れずに一緒に寝ころがると背中にぴったりとくっついた。
「チビ、邪魔なんだけど」
「…邪魔にならないようにするからここに居させて…」
…にやり。
そうやって少しずつくっついたり離れたりを繰り返して、ラスを虜にさせる。
魔王の作戦はものの見事に成功し、寝返りを打ってラスと向き合うとぱっと顔が輝いた。
そしてラスの手にベルルを乗せて、背中を突く。
「ベルル、教えてやれよ」
「えー、あたしが?…妖精の森は普通の人間には入り口がわからないようになってるはずなんだけど…」
「そうなの?どうしてグラースは入れたんだろ?」
「迷い込んだんだろ。そうやって人を迷わせて弄んで殺すこともあるからな」
「…私は城までたどり着いた。だから女王が激怒して私を呪ったんだ」
木に寄りかかっていたグラースがようやく喋り、魔王はこちらから目を離さないラスに内心うきうきしながら真面目くさった顔をした。
「俺は入り口知ってるぜ。女王め…そんなに俺に会いたいのかよ。1度寝ただけなのにな」
「寝た?」
「チビは知らなくていいのー。じゃ、寝るか」
「うんっ」
妖精の森はこの時…大変なことになっていた。