魔王と王女の物語
窓からぐるりと城を取り囲む城下町を身を乗り出して見ると、
朝だと言うのに、祝砲や花火が上がっているのが見える。
「うわあ…私のお誕生日のお祝いなのかな?」
「チビは今日で16歳だろ?これでお前も大人ってわけ」
「わ!じゃあ…お父様たちと一緒にお酒とかも飲んだりしていいのかなあ?」
「俺が一緒に飲んでやるし。でさ、酔い潰れたら一緒に寝てやるし。お望みならもっとすごいこともしてやるし」
「すごいこと?」
くつくつと笑うコハクを見上げると、ベルルが羽でラスの頬をはたいた。
「いたっ」
「おい、チビに傷つけんなって!萎えるだろ」
「ふん」
風に乗ってあっという間に居なくなってしまったベルルを見ようとさらに身を乗り出したラスの身体が傾いて、
ちょっと焦りながら細い腰をさらうとそのまま抱き上げて注意した。
「チビ、お前は女なんだからあんまりやんちゃすんなって」
「ねえコー、今日で私は大人になったんだから城下町に行ってもいいと思わない?リロイと一緒に行きたいな」
――最近ちっとも会えない幼馴染のリロイ。
19歳になり、成人して3年経っていて、もうすっかり白い純白の鎧が似合うようになって、とてもかっこよくなった。
前みたいにじゃれ合うことができなくなって寂しい思いをしていたが、
思い立ったら即行動のラスはその場でネグリジェを脱ぎだす。
「おいおい、朝っぱらから俺を誘惑する気か?」
「え、なんで?リロイのとこ行って来るの。コーも一緒に行こうよ」
「俺はお前の影だしついて行くけど。しかしまあ…育ったなあ」
にやにやしながら着替えている姿を見ているコーに恥じらいを感じることがなく着替えられるのは、
もうその手の発言に慣れているからだ。
お風呂もトイレも一緒。
ご飯を食べる時も寝る時も一緒。
コハクとは一心同体。
「コー、早く!」
「はいはい」
ラスの影にとぷんと沈み、細い脚で駆け出す。
今日は城下町も城内も賑わっていた。
勇者の一人娘が成人する――
各国から招待客も詰めかけていた。
朝だと言うのに、祝砲や花火が上がっているのが見える。
「うわあ…私のお誕生日のお祝いなのかな?」
「チビは今日で16歳だろ?これでお前も大人ってわけ」
「わ!じゃあ…お父様たちと一緒にお酒とかも飲んだりしていいのかなあ?」
「俺が一緒に飲んでやるし。でさ、酔い潰れたら一緒に寝てやるし。お望みならもっとすごいこともしてやるし」
「すごいこと?」
くつくつと笑うコハクを見上げると、ベルルが羽でラスの頬をはたいた。
「いたっ」
「おい、チビに傷つけんなって!萎えるだろ」
「ふん」
風に乗ってあっという間に居なくなってしまったベルルを見ようとさらに身を乗り出したラスの身体が傾いて、
ちょっと焦りながら細い腰をさらうとそのまま抱き上げて注意した。
「チビ、お前は女なんだからあんまりやんちゃすんなって」
「ねえコー、今日で私は大人になったんだから城下町に行ってもいいと思わない?リロイと一緒に行きたいな」
――最近ちっとも会えない幼馴染のリロイ。
19歳になり、成人して3年経っていて、もうすっかり白い純白の鎧が似合うようになって、とてもかっこよくなった。
前みたいにじゃれ合うことができなくなって寂しい思いをしていたが、
思い立ったら即行動のラスはその場でネグリジェを脱ぎだす。
「おいおい、朝っぱらから俺を誘惑する気か?」
「え、なんで?リロイのとこ行って来るの。コーも一緒に行こうよ」
「俺はお前の影だしついて行くけど。しかしまあ…育ったなあ」
にやにやしながら着替えている姿を見ているコーに恥じらいを感じることがなく着替えられるのは、
もうその手の発言に慣れているからだ。
お風呂もトイレも一緒。
ご飯を食べる時も寝る時も一緒。
コハクとは一心同体。
「コー、早く!」
「はいはい」
ラスの影にとぷんと沈み、細い脚で駆け出す。
今日は城下町も城内も賑わっていた。
勇者の一人娘が成人する――
各国から招待客も詰めかけていた。