魔王と王女の物語
詰所に割り当てられた小さな部屋で剣を磨いていると…
ノックもせずラスが飛び込んできて、腕に絡み付いてきた。
「ら、ラス…」
「私ね、今日16歳になるの。でね、今日お誕生日パーティーがあって…」
「知ってるよ。だからあの…ラス…手を離してほしいんだけど…」
――ラスと同じ金の髪がさらりと揺れて赤くなった顔を隠し、
色ごとに免疫のないリロイは、最近ますます綺麗になったラスが超至近距離に座っていることで緊張し、
そして影のコハクからくつくつと笑われた。
「笑うな!いよいよお前とラスを切り離せる時が来たんだ、覚悟しろよ!」
『針山の城までたどり着くことができるのか?魔物がうようよ居るぞ』
「僕は強くなったんだ。お前なんか怖くないぞ」
「え?コーを私の影から切り離すことができるの?どうやって?」
全く事情を知らないラスがまだ鎧を着ていないリロイの右腕を揺さぶると、それにはコハクが答えた。
『今日あたりカイから話があるんじゃねえかな』
――本来幼馴染であってもこうやってラスと親しげに話すのはご法度だったが、
これからは王家の者を傍で守ることができる白騎士団の1人としてラスを守ることができるのだ。
それを目指して、会いたい気持ちを抑えながらも今まで耐えてやってきたのだ。
「パーティーで会える?」
「うん。傍で守ってるから、楽しんでね」
「ありがとうリロイ!」
ちゅっと頬にキスをすると、リロイの顔が真っ赤になった。
だがラスはそれに気づかず詰所を出て城へと向かう。
その間に、ずっと黙っていたコハクが口を開いた。
『チビ、さっきのは何だよ』
「え、なにが?」
『小僧にキスしてたろ。どういう意味だよ』
立ち止まると自分の影を見つめて首を傾ける。
「私…何かしたっけ?」
『…俺にはしないくせに』
それっきりコハクが黙ってしまい、意味がわからなくなったが、
空に上がる花火や祝砲に気を取られて笑顔を見せる。
「パーティー楽しみだね!」
『…』
魔王は…やきもち妬きだった。
ノックもせずラスが飛び込んできて、腕に絡み付いてきた。
「ら、ラス…」
「私ね、今日16歳になるの。でね、今日お誕生日パーティーがあって…」
「知ってるよ。だからあの…ラス…手を離してほしいんだけど…」
――ラスと同じ金の髪がさらりと揺れて赤くなった顔を隠し、
色ごとに免疫のないリロイは、最近ますます綺麗になったラスが超至近距離に座っていることで緊張し、
そして影のコハクからくつくつと笑われた。
「笑うな!いよいよお前とラスを切り離せる時が来たんだ、覚悟しろよ!」
『針山の城までたどり着くことができるのか?魔物がうようよ居るぞ』
「僕は強くなったんだ。お前なんか怖くないぞ」
「え?コーを私の影から切り離すことができるの?どうやって?」
全く事情を知らないラスがまだ鎧を着ていないリロイの右腕を揺さぶると、それにはコハクが答えた。
『今日あたりカイから話があるんじゃねえかな』
――本来幼馴染であってもこうやってラスと親しげに話すのはご法度だったが、
これからは王家の者を傍で守ることができる白騎士団の1人としてラスを守ることができるのだ。
それを目指して、会いたい気持ちを抑えながらも今まで耐えてやってきたのだ。
「パーティーで会える?」
「うん。傍で守ってるから、楽しんでね」
「ありがとうリロイ!」
ちゅっと頬にキスをすると、リロイの顔が真っ赤になった。
だがラスはそれに気づかず詰所を出て城へと向かう。
その間に、ずっと黙っていたコハクが口を開いた。
『チビ、さっきのは何だよ』
「え、なにが?」
『小僧にキスしてたろ。どういう意味だよ』
立ち止まると自分の影を見つめて首を傾ける。
「私…何かしたっけ?」
『…俺にはしないくせに』
それっきりコハクが黙ってしまい、意味がわからなくなったが、
空に上がる花火や祝砲に気を取られて笑顔を見せる。
「パーティー楽しみだね!」
『…』
魔王は…やきもち妬きだった。